グレン・マーカット
Photo:Anthony Browell
オーストラリアの大地に根差し、気候風土に寄り添う持続可能な建築で世界的に知られているグレン・マーカット氏。ロンドンに生まれ幼少期をパプアニューギニアで過ごし、オーストラリア・シドニーで育った。建具業を営む父親を学生の頃から手伝い、海外の建築雑誌を読んでいたことで自然に建築の道に進んだという。1969年に事務所を設立して以来、スタッフを抱えずに、特別な協働を除いては、建築に関わる全過程を一人でこなしている。またコンピューターに頼ることなく、設計は手書きで行っているそうだ。
手掛けてきたのは主に豪州の個人住宅。出世作の東西に長い高床式の家屋の『マリー・ショート/グレン・マーカット邸』(1974/1980年)は、二重屋根の天窓や壁のルーバー(鎧戸)によって日差しや風の向きや量を調整でき、空調にも頼らなくて快適に過ごせる。そのほか、生活空間だけでなく『アーサー&イヴォンヌ・ボイド教育センター』(1999年)や『オーストラリア・イスラミックセンター』(2016年)などの公共建築まで、450件以上のプロジェクトに関わってきた。2008年には、日本で初めての個展がTOTOギャラリー・間にて開催もされている。
『アーサー&イヴォンヌ・ボイド教育センター』1999年
オーストラリア・ニューサウスウェールズ州
Photo:Anthony Browell 画像提供:TOTO出版
『サザン・ハイライズの住宅』2001年
オーストラリア・ニューサウスウェールズ州
Photo:Anthony Browell 画像提供:TOTO出版
『ウォルシュ邸』2005年
オーストラリア・ニューサウスウェールズ州
Photo:Anthony Browell 画像提供:TOTO出版
『オーストラリア・イスラミックセンター』2016年
オーストラリア・メルボルン
Photo:Anthony Browell
他、各部門の受賞者は下記の通り。
第32回 高松宮殿下記念世界文化賞 受賞者
■ 絵画部門 セバスチャン・サルガド (ブラジル/フランス)
■ 彫刻部門 ジェームズ・タレル (アメリカ)
■ 建築部門 グレン・マーカット (オーストラリア)
■ 音楽部門 ヨーヨー・マ (アメリカ)
■ 演劇・映像部門 該当者なし
第24回 若手芸術家奨励制度 対象団体
■ 中央修復研究所付属高等養成所 (イタリア)
10月に予定していた授賞式典とその関連行事は、新型コロナウィルス感染症拡大防止の観点から中止。4部門の受賞者には10月中にそれぞれ顕彰メダルと感謝状、賞金1500万円が贈られる。若手芸術家奨励制度の対象団体には、9月14日にローマでの発表記者会見の席上、奨励金500万円が贈られた。
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