2025年10月7日火曜日

「奈良監獄ミュージアム」2026年4月27日開館 コンセプトは「美しき監獄からの問いかけ」

 重要文化財「旧奈良監獄」が、星野リゾートの保存活用事業により「奈良監獄ミュージアム」として生まれ変わる。開館日は2026年4月27日。所在地は奈良県奈良市般若寺町18。

旧奈良監獄は、明治政府が計画した五大監獄のうち、唯一現存する建築物である。
1908年に竣工し、設計は山下啓次郎が担当。1946年には「奈良少年刑務所」と改称され、更生教育を重視する施設として機能した。2017年には国の重要文化財に指定されている。
ミュージアムのコンセプトは「美しき監獄からの問いかけ」。訪問者が自らと対話し、生き方を見つめ直す契機となることを目指す。施設は保存エリアと展示エリアに分かれ、展示エリアには三つの展示棟、カフェ、ショップが併設される。
(上)上空写真 (下)旧奈良監獄 表門
三つの特徴
建築そのものが最大の展示物
西洋の装飾様式を取り入れた赤レンガ造の建築は、重厚かつ美しい佇まいを持つ。赤レンガは当時の被収容者が職人と共に製作したもので、室内は天井から光を取り入れる設計となっている。

世界的クリエイターによる監修
アートディレクションは佐藤卓氏(TSDO)が担当。デザインの視点から「罪と罰」「自由」などのテーマを掘り下げた展示を構成。Museography SupervisorにはAdrien Gardere氏が参画。世界各地の美術館での展示設計経験を活かし、建築遺産をミュージアムとして再構築する。

三つの展示棟による多角的な問いかけ
A棟では奈良監獄の歴史と建築を紹介。B棟では被収容者の視点から刑務所生活を描き、自由について考察する。C棟では国内外のアーティストによる作品を通じて、監獄と社会の関係性を探る。
(上)A棟イメージ (下)B棟イメージ

施設概要
名称:奈良監獄ミュージアム
所在地:奈良県奈良市般若寺町18
開館時間:9:00~17:00(最終入館16:00)
定休日:なし(メンテナンス休館あり)
入館料:大人2,500円~
アクセス:近鉄奈良駅からバスで約13分、「般若寺」バス停下車徒歩約5分
URL:https://hoshinoresorts.com/nara-prison-museum/ja
チケット販売開始:2026年2月予定
計画概要
建築面積:1,860㎡
延床面積:2,463㎡
敷地面積:100,478.80㎡(星のや奈良監獄を含む)

耐震改修工事は文化財保存計画協会の技術指導のもと、安井建築設計事務所、飯島建築事務所が設計監理を担当。施工は戸田建設株式会社。内装・展示設計は乃村工藝社が手がける。
旧奈良監獄保存活用株式会社は、法務省との契約に基づき、保存・改修工事とミュージアム・ホテル事業の準備を進めており、2026年中にはラグジュアリーホテル「星のや奈良監獄」の開業も予定されている。


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