「KITOKI」は鉄骨鉄筋コンクリート造による3層飛ばしのメガストラクチャーの内側に、木造建築を組み合わせた10階建ての事務所、店舗ビル。メガストラクチャーが持つダイナミックさと木造の軽やかさというそれぞれの利点を融合、外観・内装にも木を多用したことでやすらぎのある空間をつくり、建物の経済的価値だけでなく、そこで働く人々の快適性を向上させる場所を目指し、建設された。
材料調達や建設過程においても、“都市と森がつながる”取り組みを推進し、持続可能な発展とカーボンニュートラルを意識した建築の普及に貢献。国土交通省令和2年度サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)として採択もされている。
構造全体の2/3を木造としたことで建物が軽量化され、地震力や地盤への影響を軽減。施工中のCO2排出量の削減(同規模のRC造と比べ27%減)しているという。
外観を印象付ける4本の柱は、コンクリートの型枠に国産材である屋久杉をNC加工機(数値制御による加工機械)にてデザインデータを入力、加工した木型枠を採用し、有機的で柔らかな表情に仕上げている。
また、使用した型枠は、アートピースやフロアサインなどの一部として転用し、廃棄物とせず活用。
エントランス部分を含む1~3階部分の梁には、秋田県産の栗の木を丸太のまま使用。改質水と抗火を使った日本初の木材乾燥機「woodbe(ウッドビー)」を用いて人工乾燥させることで、乾燥期間の大幅な圧縮とコスト削減。NC加工機もそうだが、最新の木材関連技術を積極的に活用している。
今回のセミナーは、動画で概要説明を視聴後に現場見学会が行われる形式で、開催日程のすべての回が締切前に定員に達していた。セミナー終了後、屋上から下の階へ順次見学をしていった。
▲概要説明の様子
▲屋上は入居者であれば誰でも使えるスペースで、キッチンも完備
木造部分はメガストラクャーの土台の上に自立させ、構造的負担を負わせない設計としてなっており、4・7・10Fの床及び梁がRC造で、ほかのフロアは床:木造(CLT150)柱・梁:クールウッド(シェルター)で構成されている。
▲9F(天井は構造体となっている10FのRCの床と梁)
▲8F(こちらの天井は9Fの床と梁を構成する木造)
日本木造耐火建築協会では、都市における安心・安全な国民生活の実現のため、「木を現した耐火木構造部材」及び同部材使用による「中高層・大規模耐火木造建築」の普及を目的とし、木造耐火建築のセミナーや見学会の開催、ノウハウ・構築技術の提供などを随時行っている。
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