2026年4月24日金曜日

横浜・三溪園 国指定重要文化財「臨春閣」特別公開

 横浜・本牧に広がる日本庭園「三溪園」で、普段は外観からしか見ることのできない数寄屋建築の名作、国指定重要文化財「臨春閣」が特別公開される。期間は2026年4月29日から5月10日まで。三溪園開園120周年を記念した催しの第一弾であり、「神奈川・横浜デスティネーションキャンペーン プレキャンペーン」の関連企画としても位置づけられている。

臨春閣は江戸時代を代表する数寄屋風書院造の建築で、内部には狩野派の絵師による障壁画や、和歌がしたためられた色紙をはめ込んだ欄間など、当時の洗練された美意識が今も色濃く残る。今回は完全予約制・各回15名限定という少人数制で、建物内部から新緑の庭園を眺める体験が用意されており、建築と自然が織りなす時間をじっくり味わえる機会となる。

臨春閣特別公開は、1回20分、完全入替制で実施される。時間帯は10時から15時50分までの全12回で、参加費は1,000円(別途入園料が必要)。対象は小学生以上で、事前予約制となっており、オンラインサービス「Peatix」にて3月29日午前10時からチケット販売が行われる。歴史的建造物のため段差や狭い通路があり、バリアフリーには対応していない点には注意が必要。

あわせて、三溪園開園120周年を記念し、5月9日から17日までは、もう一つの重要文化財「旧天瑞寺寿塔覆堂」も特別に開扉される。こちらは1591年、豊臣秀吉が母・大政所の長寿を祈って建てた寿塔を覆う建造物で、1905年に三溪園へ移築された最初の古建築でもある。通常は外観のみの鑑賞だが、期間中は戦後に復原された色鮮やかな内部彩色を、外部から見学することができる。さらに4月11日から5月10日までは、聴秋閣周辺の遊歩道も特別開放され、渓谷沿いから三重塔を遠望する、新緑と古建築が重なり合う景色を楽しめる。

こうした企画の背景にあるのが、三溪園という場所そのものの成り立ちだ。三溪園は、生糸貿易で財を成した実業家・原三溪によって創られ、1906年5月1日に一般公開された。約17.5ヘクタールに及ぶ広大な敷地には、廃仏毀釈などで失われかけていた京都や鎌倉の歴史的建造物が移築され、自然と建築が調和する庭園として整えられてきた。開園当初、「遊覧御随意」を掲げて外苑を24時間無料開放していた姿勢には、「美しいものはみんなで楽しむもの」という原三溪の思想が色濃く反映されている。
また三溪園は、横山大観や下村観山、前田青邨ら次代を担う日本画家を育てた文化的拠点でもあり、日本美術史においても重要な役割を果たしてきた。戦災を経て1953年に横浜市へ譲渡されたのち、財団法人三溪園保勝会によって維持・運営され、2007年には国の名勝に指定。現在、園内17棟の古建築のうち、10棟が重要文化財、3棟が横浜市指定有形文化財となっている。




公益財団法人三溪園保勝会
https://www.sankeien.or.jp

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