2018年4月9日月曜日

東京大学総合図書館本館改修

東京大学で進行中の総合図書館改修で一部工区の引渡前に現場説明会が行われた。
90年前の図面を読み解き、可能な限り当時の建材を再利用し施工当時の空間を再現しながら現在の仕様に合う改修が行われている。
入口正面には3階まで続く大階段があり、トップライトからの光が柔らかく室内を照らしている。改修作業中だったので階段を上ることは出来なかった。
1階にある記念室は戦時中に学徒出陣結成式が行われる等、東京大学の歴史に残る場所である。
床のチーク材は現在入手困難なため当時の建材を再利用し、足りないものは他の部屋で使用していた同年代のものを使用。
天井の照明器具は写真を見ながら復元。中央の照明を囲んでいる小さいものはブラケット照明として単体で使用できる。
ブラケット照明として使用。
緞帳の金具

大階段を上がった3階は以前図書館が閉架だった時の受付だった場所。
階段の上は吹抜になっていて、開口部から入る光が室内を明るく照らす。
照明器具は1階記念室の照明器具に似ているが違うものがついている。
閲覧室は防音のため床材をカーペットに変更。空調を床からにしたことで結果的にオリジナルの状態で復元出来た。壁や天井は改修作業で重なった壁の色をはがしていきオリジナルの色を確認しオリジナルの色に戻した。空調は床から吹き出しにし、意匠に影響の無いようにした。
天井は現在の建築基準に変更しているが、保存と次回改修(100年後?)に設計者が施工当時の状態が分かる様にとの配慮から一部窓際の天井を竣工当時オリジナルと同じ木下地としている。
窓際の天井部分がそうだが、見た目では分からない。

4階吹き抜け部分はコンクリートと同じ扱いになる高強度ガラスを使用して吹き抜け部分を囲んでいる。人がぶつかっても大丈夫なくらいの強度があとのこと。
トップライトを囲む格子天井の部材は当時のものを使用。
柱の木材も当時のものを使用しているが、傷んでいる箇所も多かったとのこと。

5階トップライト最上部。上下のバーは窓清掃の際に安全帯を取り付けるもの。

最上階から地下へと移動。
図書館新館とは地下1階でつながっている。
地下から見た傾斜が本館入口正面の階段になる。(赤い丸の部分)
正面玄関階段の一番上だけ色が違うが、ここにエキスパンションジョイントが設置されていて、一番上の新しい石が本館、古い石が新館になる。
新館と本館のB1GLが違い、接続を解消するのに苦労したとの事。
地下の窓は雨かかりがないのでサッシは当時のものを使用。内側に新しい窓を設けて防火に対応している。

4月からは新たな改修が始まる。
改修開始から既に4年が経過。改修終了するまで数年がかかる。

0 件のコメント: