アーキテクテン・デ・ヴィルダー・ヴィンク・タユーの展覧会「アーキテクテン・デ・ヴィルダー・ヴィンク・タユー展 ヴァリエテ/アーキテクチャー/ディザイア」へ。
人間・時間・空間それぞれの間合いという、日本特有の概念を表象する「間」の一字を名称とした「TOTOギャラリー・間(ま)」は、社会貢献活動の一環としてTOTOが運営する、建築とデザインの専門ギャラリー。
1985(昭和60)年10月の開設以来、国内外の建築家やデザイナーの個展にこだわり続け、今回、ベルギーのゲントを拠点に活動し、世界的な注目を集めつつある建築家ユニット アーキテクテン・デ・ヴィルダー・ヴィンク・タユー(以下ADVVT)の日本で初めての展覧会「アーキテクテン・デ・ヴィルダー・ヴィンク・タユー展 ヴァリエテ/アーキテクチャー/ディザイア」を開催。
内覧会当日はヤン・デ・ヴィルター氏とヨー・タユー氏から20分間の趣旨説明が行われた後、実際に展示を見て回る20分間の会場ツアーが行われた。
ヨー・タユー氏(左)・ヤン・デ・ヴィルター氏(右) |
教育も設計活動の重要な一部分と考えているADVVTは、本展覧会のために今春、東京工業大学においてワークショップを実施。ADVVTの作品のコンセプトを学生が読み解き、そのコンセプトを再解釈し、日本というコンテクストに挿入する際にどのように設計に反映されるかを探究することで、ベルギーと日本のコンテクストの相違だけでなく、普遍的な建築のエッセンスを抽出しようと試みた。
ヤン氏は「本展覧会では二つのテーマがある。一つはADVVTの作品を紹介するということ。二つはベルギー・フランダースの文化を伝えることだ」とし、「タイトルのヴァリエテは多様性、アーキテクチャーは建築、ディザイアは欲求という意味。11の島にそれぞれ4つの模型を置いている。東京工業大学の学生と行ったワークショップは、単純に形態をつくるのではなく、日本とベルギーの二つの文化をどのように融合させるかというテーマである」と話す。
3階と4階の展示室には、ADVVTが設計したベルギーのフランダース地方の11の住宅を、図面と模型を制作することで理解を深めた、日本の学生とのコラボレーションの結果が展示。
BERN HEIM BEUK|ベルン・ハイム・ベークの4種類の模型 |
①ADVVT作品模型:ADVVTがベルギーで制作したオリジナル作品の模型「ベルン・ハイム・ベーク」 |
②近隣作品模型:「ガエハウス」(設計:アトリエ・ワン) |
③エッセンス模型:ADVVTオリジナル作品のエッセンスを表す部分模型(模型製作:東京工業大学) |
④日本バージョン模型:東京工業大学学生による設計作品の模型「ベルン・ハイム・ベーク東京」 |
個別の空間とのバランスでフリースペースの配分を再定義する世界において、「間」の概念は重要な鍵になる。このことは「ベルン・ハイム・ベーク」、「ガエハウス」、そして「ベルン・ハイム・ベーク東京(設計:東京工業大学)」で同じようなやり方で共有されている。構造体としての木、あるいは少なくとも材料としての 木という捉え方は、しばしば樹木の形態に関連している。「ベルン・ハイム・ベーク東京」では長く引き伸ばされたプランに沿って、このテーマを探究している。
――展示中の作品解説テキストより
模型を置いている台は、運送の際に使用した木箱 |
中庭には、大きな白いドローイングボードが置かれる。これは来場者参加型の作品で、スタンプやペンが用意されている。展覧会期間に新しい村や世界を作り上げようという試みだ。ADVVTが日本で関わった初めてのプロジェクト伊東豊雄氏らの“みんなの家”から着想を得ている。
ADVVTオリジナルスタンプは2種類
ヤン氏は本展覧会の試みについて、「建築家の作品をプレゼンテーションする展示もいいものだが、今回のようにワークショップによってサポートされている展示もまたいいはずだ。日本とベルギーの文化をより知るにはいい形になった」とし、「建築界は今新しい時代に来ている。すぐに手に入る答えよりも、疑問を投げかける時代だ。サステナビリティはエネルギーや生態系と結びつけられるが、文化も付随できると思っている。文化という観点を通じて本展示がサステナビリティに貢献できていたらいい。また、私たちは未来をつくる職業についているが、本展示も東京工業大学の学生のキャリアに役立てばいい」と思いを語った。
会場ではワークショップで制作した模型やドローイングを交え、柔軟な発想で与条件をポジティブに転換するADVVTの作品と、彼らのまなざしを見られる。展示は11月24日(日)まで。入場無料。
TOTO出版より刊行される『アーキテクテン・デ・ヴィルダー・ヴィンク・タユー建築作品集』も要チェック。
詳細はこちら。
0 件のコメント:
コメントを投稿