2026年7月9日木曜日

【ワンダーウォール】片山正通氏が、新クルーズ船「AMANE(海音)」をトータルデザイン。2027年春に就航予定。

Wonderwall®を率いる片山正通氏が、日本郵船の新クルーズ船「AMANE(海音)」のトータルデザインを手掛けた。2027年春に就航予定の同船は、東京湾で長年親しまれてきたレストラン船「LADY CRYSTAL」の後継船として計画されたものだが、その設計の特徴は単なる豪華客船の演出ではない。

片山氏は、日本郵船が受け継いできた客船文化の歴史をひもとく中で、岩崎久彌の旧岩崎邸庭園に着目。邸宅と庭園が互いを引き立てながら一体の空間体験を形成していることから着想を得て、「東京湾を庭園に見立て、その上に浮かぶ邸宅をつくる」というコンセプトを導き出した。船そのものを主役にするのではなく、東京湾の風景を取り込むための器として構想した点に、本プロジェクトの独自性がある。
デザインの根底には、日本古来の精神性と西洋の技術や様式を融合する「和魂洋才」の思想が据えられている。船体外観は、船が本来持つ流麗な曲線を生かしながら、デッキと内部空間を連続したものとして捉えて構成。建築とランドスケープの関係性を船に置き換えたような設計となっている。また、乗船前の体験にも配慮し、桟橋から船首の個室や船内の様子が自然に視界へ入ってくる導線を計画。訪れた人が邸宅へ招かれるような感覚で船内へ導かれる演出が施されている。

△ 桟橋

△1F 廊下(ギャラリー)
△1F メインダイニング

△バーラウンジ
△2F個室
△3Fフライングデッキ

船内では、邸宅を巡るような体験が空間全体を通じて展開される。1階のギャラリーにはアーティスト山口幸士氏による作品を展示し、移動そのものがアート鑑賞の時間となるよう設計。中心となるメインダイニングは、日本建築に見られる格天井を現代的に再解釈した意匠を採り入れながら、柱の存在を感じさせない大らかな空間として計画されている。食事のためだけでなく、イベントやレセプションにも対応できる柔軟性を備え、船上の邸宅におけるリビングルームのような位置付けとなる。一方、船尾のバーラウンジは大開口のガラスによって海との距離を縮め、室内にいながら屋外のような開放感を味わえる空間とした。

特に片山氏のコンセプトが色濃く表れるのが、船首の個室と最上階のフライングデッキだ。東京湾の景色を最も印象的に受け止められる位置として計画された個室は、デッキと連続する構成によって室内外の境界を曖昧にしている。さらにフライングデッキは、「庭園としての東京湾」を最もダイレクトに体感できる場所として設計され、海上の風や光、広がる視界そのものが空間の一部となる。船内を豪華に装飾するのではなく、東京湾の風景を最大のデザイン要素として取り込むことで、建築、インテリア、ランドスケープが融合した新たな船上空間を実現している。

【新クルーズ船「AMANE」概要】
船名:AMANE(海音)
就航予定:2027年春
全長:約48.0m
全幅:約9.5m
喫水:約2.1m
総トン数:約480トン
定員:約90名(着席時)
クライアント:日本郵船株式会社
本船トータルデザイン:片山正通
(株式会社ワンダーウォール 代表)
ロゴデザイン:平林奈緒美
プロジェクトコンサルティング:寺田心平
(株式会社タイソンズアンドカンパニー    代表取締役社長)




ワンダーウォール
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