2026年8月18日火曜日

【東畑・梓設計共同企業体/株式会社梓総合研究所】 デジタルアーカイブプロジェクト「Record-RING」始動

大阪・関西万博のシンボルとして国内外の注目を集めた大屋根リングを、デジタル空間上で未来へ継承するプロジェクトが始動した。大屋根リングの基本設計に携わった東畑・梓設計共同企業体と梓総研は、デジタルアーカイブ事業「Record-RING(レコード・リング)」を立ち上げ、万博閉幕後の姿を高精度に記録・公開する取り組みを進めている。
Webサイト 3DGSイメージ
建築物の保存といえば、これまで図面や写真、映像による記録が中心だった。しかし建築の本質的な価値は、形状だけでなく、その場の光や風、スケール感、人々が共有した体験にもある。特に大屋根リングのような巨大建築は、実際に歩き、見上げ、景色を眺めることで初めて理解できる側面が大きい。今回のプロジェクトは、そうした建築体験そのものを後世へ残そうとする試みといえる。

アーカイブの構築には、会期終了直後に実施した空撮による3Dスキャニングデータを活用する。さらに、最新技術である「3DGS(3D Gaussian Splatting)」を採用し、従来の3Dモデルでは再現が難しかった質感や光の反射、空気感まで表現する。リングを単なる立体データとして保存するのではなく、その場に流れていた時間や空間の雰囲気を含めて記録しようとしている点が特徴だ。
設計コンセプト 表示イメージ
Webサイトイメージ
完成したアーカイブは専用ウェブサイト上で無償公開される予定で、利用者は3D空間内を自由に移動しながらリングを体験できる。リング上を飛び回るように巡りながら、設計コンセプトや建築的特徴についても学べる構成となっており、デジタル展示館としての役割も担う。プロジェクト名の「Record-RING」には、184日間にわたり世界中の人々が共有した万博の記録を未来へ残すという意味と、レコード盤のようにアクセスすることで当時の記憶や体験を再生するという意味が込められている。

建築界では近年、保存の概念そのものが変化しつつある。歴史的建造物を現地で残すことに加え、デジタル技術によって空間体験をアーカイブする動きが広がり始めている。とりわけ万博施設のような期間限定建築にとって、こうした取り組みは建築文化の継承手法として大きな可能性を秘める。

今後は大屋根リングだけでなく、万博会場に建てられた各国パビリオンなどの記録公開を受け入れるプラットフォームへの発展も視野に入れるという。Record-RINGは、建築を「残す」だけではなく、「体験を継承する」時代の新たなアーカイブのあり方を示す取り組みとして注目されそうだ。




東畑建築事務所




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