2026年8月7日金曜日

【VUILD ・KOKUYO】共創した大型ベンチ「GGO Biomorphic Lobby Furniture」が「A’ Design Award & Competition 2026」で金賞を受賞

コクヨとVUILDは、両社が共創した大型ベンチ「GGO Biomorphic Lobby Furniture」で、イタリアの国際デザイン賞「A’ Design Award & Competition 2026」の家具デザイン部門で金賞を受賞した。

△(C)Hayato Kurobe

△(C)Hayato Kurobe

受賞作は、直線的で静かな印象を持つロビー空間に、人の感覚に寄り添う有機的な風景を生み出すことを目的に計画された大型ベンチ兼植栽ユニットで、全長16メートルのベンチと8メートルのベンチ、植栽ポッドによって構成される。来訪者が腰掛けるための家具であると同時に、人の滞在や交流、回遊を促す空間装置として設計されており、オフィスロビーに新たな居場所を生み出している。

特徴的なのは、その造形がデジタル上で描かれたものではなく、まず手でこねた粘土模型から生まれている点にある。コクヨが制作した模型を出発点とし、その形状を3Dスキャンによってデジタルデータ化。さらにVUILDが持つパラメトリック設計や生産設計技術を用いて最適化することで、人の手から生まれた感覚的なフォルムを大規模な木質空間へと発展させた。アナログな造形感覚とデジタル技術を往復しながら形を磨き上げたプロセスそのものが、本作品の大きな特徴になっている。

造形を支えているのは、国産ナラ集成材から切り出した6120個の木製パーツである。緩やかにうねる曲面を実現するため、VUILDは設計や加工、施工の工程そのものを再構築した。スキャン時に生じる微細なノイズや歪みを補正するアルゴリズムを開発したほか、3Dモデルから図面の大部分を自動生成する仕組みも構築。設計変更への柔軟な対応と承認作業の効率化を図りながら、複雑な形状の実現に取り組んだ。
加工工程では、硬質なナラ材を大量かつ高精度に加工するための独自ツールを開発。素材特性に応じた加工条件をテンプレート化し、一括処理を可能にしたほか、刃物の動きや切削深度を細かく管理することで、後工程に依存しない高品質な仕上がりを追求した。また、部材を板材へ効率的に配置するネスティング工程についても独自の高速化ツールを開発し、従来は30分程度かかっていた処理時間を数秒レベルまで短縮している。
施工段階では、600~900ミリ程度のユニットに分割した部材を工場であらかじめ組み立て、計47本のユニットとして現場へ搬入した。曲線同士が連続する部分ではわずかなズレも全体の印象に影響するため、一本ずつ精度を確認しながら組み上げるとともに、積層構造の隙間には補助材を設けて安全性と意匠性を両立させたという。

A’ Design Award & Competitionは、建築や家具、プロダクトデザインなど幅広い分野を対象とする世界有数の国際デザイン賞として知られている。今回の受賞は、有機的な空間デザインの表現力に加え、粘土模型から設計データを生成し、数千点に及ぶ木製部材を高精度に製作・施工するまでの一連のプロセスが評価された結果とみられる。

近年、建築やインテリアの分野ではデジタルファブリケーションの活用が広がっているが、「GGO Biomorphic Lobby Furniture」は単なる技術実証にとどまらず、人の感覚から生まれた造形を空間体験へと昇華させた事例として位置付けられる。家具と建築、職人技とデジタル技術、その境界を横断しながら新たな居場所を創出したプロジェクトとして、今後の空間デザインの展開を考える上でも示唆を与える作品となりそうだ。




VUILD
https://vuild.co.jp/
KOKUYO

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