2026年10月5日月曜日

【目黒雅叙園】東京都指定有形文化財「百段階段」を1年ぶりに特別公開

目黒雅叙園は、東京都指定有形文化財「百段階段」の文化財建築特別公開を、2026年10月1日から2027年3月30日まで開催する。運営受託者として実施するもので、展示を最小限に抑え、文化財建築そのものの魅力を体感できる公開企画としては約1年ぶりとなる。

「百段階段」は、1935(昭和10)年に建設された旧目黒雅叙園3号館で、7つの宴会部屋を99段の長い階段廊下で結ぶ木造建築として知られる。昭和初期を代表する画家らによる126枚の日本画をはじめ、螺鈿細工、釘や接着剤を使用せずに組み上げられた組子障子、750点を超える七宝細工、樹齢約200年の檜の床柱など、随所に高度な職人技が施されており、その歴史的・文化的価値から2009年に東京都指定有形文化財に指定された。
<百段階段「漁樵(ぎょしょう)の間」>

<百段階段「静水(せいすい)の間」>

今回の特別公開では、イベント展示や演出を極力排し、建築本来の姿を鑑賞できることが大きな特徴となる。来館者は各部屋に描かれた日本画や装飾意匠、欄間、床柱、長押などを間近に見ながら、かつて“昭和の竜宮城”と称された目黒雅叙園の美意識に触れることができる。金曜日と土曜日には、一般公開終了後に人数限定のガイドツアー付き見学も実施され、専門的な解説を交えながら文化財の見どころを巡る機会を設ける。

見どころの一つとして、戦前に使用されていたものを修復した現存最古の回転テーブルとされる「螺鈿の回転テーブル」を、「十畝の間」で特別展示する。長押や床框に施された螺鈿装飾で知られる同室において、華やかな螺鈿細工をまとった回転テーブルが公開されるのは初めてで、文化財建築と調度品が織りなす往時の宴席空間を伝える展示となる。
また、館内装飾に込められた意味や物語に着目した企画として、「百段階段」に描かれた100のモチーフも紹介する。鶴や龍、牡丹をはじめ、健康や富貴、良縁といった願いを象徴する縁起物をテーマに、一つひとつの意匠に込められた意味を解説することで、建築美術への理解を深める内容とした。
<百段階段>

<百段階段「十畝(じっぽ)の間」螺鈿細工>

<百段階段「草丘(そうきゅう)の間」>

「百段階段」は、厚さ約5センチのケヤキ板で構成された階段廊下と、それぞれ趣向の異なる7部屋によって構成される。天井画や欄間には当時第一線で活躍した画家たちの作品が描かれ、桃山文化や江戸文化の流れをくむ豪華な装飾様式が現在まで受け継がれている。近年は展示会場として活用される機会も多いが、今回は建築そのものに焦点を当てることで、昭和初期の職人技術と美意識の到達点とされる文化財の価値を改めて紹介する機会となりそうだ。




目黒雅叙園

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